現物取引と信用取引の違いとは?メリット・デメリットを説明!

現物取引・信用取引のメイン画像

現物取引」と「信用取引」は、株式投資の中でも代表的な取引方法として有名です。
この2つの取引方法には、一体どんな違いがあるのか?イマイチ把握できていないという方や、どっちの方が良いか悩んでいる方も多いのではないでしょうか?

ひとことで言ってしまうと、
現物取引は、リスクを抑えた中長期投資に向いている取引方法
信用取引は、ハイリスクだが大きなリターンを期待できる取引方法
と言えます。

現物取引と信用取引は、どちらの方が売買に有利ということはありません。
2つの取引方法の違いを知り、そのメリット・デメリットを抑えておけば、短期集中でリスクを取って利益を狙う局面は信用取引、株主優待や配当金を受け取りながらの中長期保有は現物取引
といったように、資金量や投資スタイル合わせて、使い分けられるようになります。
まずは現物取引と信用取引、その特徴から見ていきましょう。

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現物取引・信用取引とは?

数ある株の取引方法の中でも、比較されることの多い「現物取引」と「信用取引」ですが、どのような取引方法かきちんと勉強しきれていないという方も多いのではないでしょうか?
現物取引と信用取引の違いを学ぶ前に、基本知識を抑えておきましょう!

現物取引とは?

現物取引とは投資家と証券会社との間で、その時々の時価で計算した売買代金と株式の受け渡しが行われる取引方法です。
こう書くと難しく感じるかもしれませんが、お店で買い物をするのと同じように、自分が持っているお金の範囲内でのみ、証券会社から株を買うことができ、買った分だけ好きなタイミングで売れるという意味になります。

また、現物取引では、株を買うことを「現物買い」売ることを「現物売り」と呼び、他の取引と区別をつきやすくするために「現物」と省略して呼ばれることもあります。ネットやニュースで、株取引や株売買といった言葉を耳にすることがありますが、一般的に普通の株取引と認識されているのが現物取引です。

そして 、現物取引では、自己資金の範囲内でしか取引を行えませんが、次にご紹介する「信用取引」を利用すれば、自己資金以上の株取引ができたり、持っていない株式の売却も可能です。一体どのような取引方法なのか見ていきましょう。

信用取引とは?

信用取引とは自分の資金や株式を担保として証券会社に預けることで、お金や株を借りて担保の最大で3.3倍の売買が可能な取引方法です。

前述したように、現物取引ではできない自己資金以上の株取引や持っていない株式の売却ができ、証券会社から資金を借りて株を買うことを「信用買い」、株を借りて売ることを「空売り」と呼びます。

信用取引は、有利に取引をさせてもらえる代わりに、担保が必要だったり、手数料や返済期限といったさまざまな制限が設けられていて、ひと口に信用取引といっても、制限によって「一般信用取引」と「制度信用取引」の2種類に分かれます。

信用取引の種類
一般信用取引 特別な制限はほとんど無い、精度信用と比べて手数料が高い
制度信用取引 6ヶ月の返済期限、取引銘柄の制限がある

お金を持っていなければ売買できない現物取引に対して、信用取引は、自己資金や保有株を担保にお金や株を借りて売買できるため、参加者の増加を促します。それによって、売買の活発化が促進され、株価の公平な価格形成が望めると考えられています。
2つの取引方法の意味が分かったところで、次は現物取引と信用取引の違いをご紹介します。

現物取引と信用取引の違い

現物取引と信用取引の違いは、自己資産だけで株式投資を行うかどうかです。信用取引は現物取引と比べて、取引コストや期間、売買できる銘柄が異なり、レバレッジを賭けた取引や空売りも可能になります。具体的にどれくらいの違いがあるのか見ていきましょう。

レバレッジの有無

レバレッジは、借入金などの自己資本以外を利用して投資を行い、より高い利益を得ようとすることです。
現物取引は、持っているお金の範囲内でしか取引できませんが、信用取引は、テコの原理のように、現在の資本を担保にすることにより、最大で担保の3.3倍までのお金を借りて株取引ができます。

本来では買えない高い株や多くの株を買えるため、現物取引よりも信用取引の方がより多くのリターンが期待できます。しかし、得られる利益が大きい分、被る損失も大きくなるという特徴もあります。一歩間違えれば、許容できる金額を超える大きな損失を抱える可能性があることも頭に入れおきましょう。

取引できる銘柄

現物取引は、購入に必要な資金さえあれば、どんな銘柄でも買うことできます。対して信用取引は、ほぼすべての銘柄が買える「一般信用取引」と取引所が指定した銘柄のみ買える「制度信用取引」で分かれます。

また、一般信用取引の中でも、買建と売建で買える銘柄が限定されるなど、現物取引と比べて、信用取引は取引できる銘柄に制限があります。

また、証券会社によっても差が出てくるため、自分の売買したい銘柄が現物・信用の両方で取引可能かどうか、事前に確認しておくことが重要です。

空売りの可否

現物取引では、事前に購入して保有している株式しか売ることができませんでしたが、信用取引であれば、株を保有していなくても証券会社に株を借りて売却する「空売り」が可能です。

空売りを上手く使えれば、現物取引なら損失を被ってしまう株価が下落する場面でも利益を狙うことができます。現物取引では「安く買って高く売る」ことだけが目的でしたが、信用取引の空売りは逆の発想で「高く売って安く買い戻す」ことが目的です。
例えば、株価1万円の株が下がると見込み、100株を空売りするとします。

  1. 証券会社から100株を借りて空売りし、100万円の現金が手に入る
  2. その後、株価が8000円まで下落したので100株買い戻し、80万円の現金が手に入る
  3. 借りた株数100株を証券会社に返す
  4. 受け取った100万円-買い戻した時に払った80万円=20万円が手元に残る

手数料以外のコスト

現物取引と信用取引の両方とも、取引を行うたびに必ず売買手数料がかかります。 しかし、信用取引の場合は、株式投資をするうえで必ず必要な売買手数料に加えて、金利や貸株料といった手数料以外のコストがかかります。

そして、持っていない株を売る「空売り」を行っているときに、もしも証券会社の貸し出している株が足りなくなった場合には、「逆日歩」が発生します。逆日歩とは、信用取引の売り方が負担する、事前に想定できないコストのことです。

信用取引とは?でも述べたように、信用取引は、大きなリターンを狙えるかわりにさまざまなコストが発生するため、現物取引よりも資金管理に注意が必要です。株初心者や、これから株取引始めようと思っている方であれば、まずは現物取引で相場に慣れてから信用取引を行ったほうが安全だと言えるでしょう。

また、証券会社によって取引にかかる手数料が異なり、無料の証券会社や手数料が定額のところもあります。少しでも安く済む証券会社で口座開設を行えば、その分リスクをおさえて株式投資に望めます。

取引期限の違い

現物取引には、買った銘柄をいつまでに売らなければならないという期限はありません。一方、信用取引で期限が無いのは「一般信用取引」のみで、「制度信用取引」は6ヶ月以内に取引を終了させなければならないという制限があります。

制限を守らないと、ペナルティが発生し、成り行き注文で強制的に決済が行われてしまいます。また、一般信用取引であっても、長く保有し過ぎるとその分だけ金利も増え続けてしまいます。

このように、2つの取引方法には、取引期限の違いがあります。長期投資を目的としているのであれば現物取引、デイトレードで頻繁に取引を行いたいのであれば信用取引を選ぶようにしましょう。
ここまで、ご紹介してきた現物取引と信用取引の違いを表にまとめました。

レバレッジ 取引できる銘柄 取引期限 コスト 空売り
現物取引 1倍 全ての銘柄 期限なし 売買手数料 不可能
制度信用取引 最大3.3倍 約2,100銘柄 6ヶ月 売買手数料+
金利・貸株料など
可能
一般信用取引 原則全ての銘柄 期限なし

それぞれ違いがある現物取引と信用取引は、投資スタイルによっても得手不得手があります。せっかく株取引を行うなら、2つの取引方法のメリット・デメリットを知って、自分の資金や思い描く投資スタイルに近いモノを選びましょう
まずは、現物取引のメリット・デメリットからご紹介します。

現物取引のメリット・デメリット

自己資金の範囲でのみ株式投資が可能なことから、信用取引と比べると大きな損失のリスクが低く、メジャーな取引方法の1つである現物取引。ここでは、現物取引のメリット・デメリットをご紹介します。

現物取引のメリット

現物取引はリスクが低い

もうお気づきの方もいらっしゃると思いますが、現物取引は信用取引に比べてリスクの低い取引方法です。
信用取引を行う時には、証券会社から資金や株を借りて始めなければいけませんよね?借りることはメリットもある一方、保有中の金利や貸株料といったコストが発生したり、株価の下落によって借金を背負ってしまうリスクもあります。

その点、現物取引であれば、自分の持っているお金の範囲内でのみ株を購入するため、損失を出したとしても、お金が減るだけで借金をすることはありません。もちろん、株価が急落した場合には痛い損失となってしまうかもしれませんが、コストが多く、証券会社から借りたお金を扱う信用取引よりは、遥かに少ない損失で済みます。

取引銘柄に制限が無い

現物取引は、取引銘柄に制限がありません
制度信用取引では、証券取引所が指定した銘柄しか取引できず、一般信用取引でも取引できない銘柄があり、信用取引には銘柄を選ぶ際に制限があります。

一方で、現物取引はというと、投資家自身が持っているお金の範囲内であれば、東京証券取引所をはじめとする国内市場に上場しているすべての株式を買うことができます

取引銘柄に制限が無いということは、資金さえあれば信用取引では行わないとならない、購入できるか?空売りも可能か?とリサーチする時間を削減できます。また、特に取引したい銘柄が決まっていないという方は、リスクが低く、どの銘柄でも買える現物取引でいろいろな株式を物色してみると良いでしょう。

現物取引のデメリット

レバレッジをかけられない

現物取引は、信用取引のように証券会社からお金や株を借りることができないため、レバレッジをかけた取引ができません

必ず、自分が持っている資金の範囲内でしか株を買うことができず、もしも、これは上がる可能性が高いと思った株があったとしても、その株の値段が高ければチャンスを見過ごすことになります。

借金をすることなく、リスクを抑えて取引できるメリットを持つ反面、レバレッジがないことで、信用取引のような何倍もの利益を獲得することは期待できません。

株価下落で損失のリスク

当たり前のことですが、現物取引は株を買うことしかできないため、株価下落で損失のリスクがあります。同じように下落したとしても、信用取引のように大きな損失は被りませんが、株価の下落で利益を得る空売りもできません。

現物取引は基本的に「安く買って高く売る」という選択肢しかないため、株価が下落した場合、そのまま上昇を待って保有を続けるか、損失がこれ以上増えないように、損切りを行うという選択肢になります。

また、資金に余裕があれば、下落したところで更に買い増しを行って、一時的に1株当たりの損失額を緩和する「ナンピン」という選択肢もありますが、一歩間違えると信用取引にも並ぶほどの損失を抱えてしまうことがあるので、株取引に慣れてから実践するようにしましょう。

ここでご紹介したメリット・デメリットから考えると、現物取引は、リスクの低さを活かせる中長期投資にピッタリだと言えます。中長期投資であれば、ちょっとやそっとの下落を気にすることなく、レバレッジをかけてわざわざリスクを取りに行く必要も無くなるからです。
では、前述したようなメリット・デメリットを持つ現物取引に対して、信用取引は一体どんなメリット・デメリットを持っているのでしょうか?詳しく見て行きましょう。

信用取引のメリット・デメリット

信用取引は、最大で「3.3倍のレバレッジ」と株を持っていなくても売れる「空売り」を駆使して、大きな利益を狙えることが最大のメリットです。

しかしそれと同時に、大きな損失を被るリスクの高さや、売買する際の費用がかさむといった、いくつかのデメリットも持ち合わせています。中でも特に、メリットにもデメリットにもなり得るレバレッジは、理解しておかないと思わぬ損失を招いてしまうので注意が必要です。

信用取引のメリット

レバレッジで大きな利益の可能性

信用取引を行う上でのメリットは、なんといっても最大3.3倍までかけられるレバレッジです。
3.3倍のレバレッジというと、例えば100万円の資金を持っていたら、約330万円までの株を購入できることを意味します。現物取引のように、株を買うために必要なお金を全額持っていなくても、証券会社からお金や株を借りて取引が可能です。

多くの資金を用意できない方でも、レバレッジを駆使すれば自分が持っている金額以上の投資パフォーマンスを発揮でき、大きな利益の可能性があります。そのため、デイトレードや超短期投資を行う方にはとても魅力的なメリットと言えるでしょう。

また、投資できる資金が増えることは、今まで欲しくても買えなかった銘柄でも手に入れることができ、銘柄選択の幅が広がります。最大3.3倍もの売買を行うということは、保有している株が上がるたびに普段の3.3倍の利益を得られることになります。

条件 株価が2倍になった場合の利益
現物取引 資金50万円 50万×2=100万円
信用取引 資金50万円 165万×2=330万円

上昇・下落の両方で利益を狙える

信用取引は、通常の上昇局面に加えて、全体相場が落ち込んでいるときでも、上昇・下落の両方で利益を狙えるため、現物取引よりも売買のチャンスが多いです。

不祥事や悪いニュースによる市場の混乱や悪材料に対する株価が下がった局面でも利益を得ることができます。つまり、空売りの可否で述べたように、通常の現物取引では行えない「空売り」は、信用取引ならではのメリットと言えます。

また、注意点としては、空売りはすべての銘柄でできるわけでなく、取引所によって対象銘柄が決められているため、売買したい銘柄決まっている場合は、事前に確認しておきましょう。

信用取引のデメリット

レバレッジ運用のリスクが高い

信用取引が危険と言われている理由としては、レバレッジ運用のリスクが高いことが挙げられます。
投資効率を上げるメリットでもあるレバレッジは、成功すれば多くの利益を得られますが、失敗した場合多くの損失を被ってしまいます。現物取引であれば最大損失は、「投資した金額まで」で収まりますが、レバレッジを最大で運用していたら通常取引の3.3倍にも膨れ上がります。

条件 株価が1/2になった場合の損失
現物取引 資金50万円 50万×1/2=25万円
信用取引 資金50万円 165万×1/2=82.5万円

レバレッジに加えて、コストの多さや取引期限、レバレッジなどがある信用取引は、一歩間違えると借金になってしまう危険も伴います。更には、取引を行うために必要な保証金を下回る損失となった時には「追証(追加証拠金)」が発生します。

追証が発生すると、翌々営業日までに、追加で入金を行う必要があり、その間にも株価は変動します。精神的な負担も大きいため、3.3倍というレバレッジに目が眩んで、リスクのある取引だということを忘れないようにしましょう。

逆日歩や口座管理料などのコスト

売買手数料については、現物取引よりも低めに抑えられている証券会社がほとんどですが、信用をもとにお金や株を借りて売買を行う信用取引は、通常の売買手数料に加えて逆日歩や口座管理料などのコストが発生します。

この独特の費用は、毎日発生するものやある条件を満たせば発生したりと、以下のようにさまざまな種類があります。

コスト 意味 信用買い 空売り
売買手数料 必ず発生する費用 支払う
信用金利 証券会社から借りたお金かかる費用 支払う
貸株料 証券会社から株を借りるための費用 支払う
逆日歩 制度信用取引において、
市場で貸借される株式が不足すると発生する費用
受け取る 支払う
口座管理料 行った取引で1株ごとにかかる費用 支払う

手数料以外のコストで述べたように、証券会社によってはこの他にも、発生する費用やコストの名目が異なる場合もあるため、行いたい取引や投資スタイルに応じた証券会社選びを行いましょう。

信用取引の口座開設は審査が厳正

現物よりも有利な投資ができる分、信用取引の口座開設は審査が厳正です。
信用取引は、現物取引と比べてリスクが大きいため、誰でも口座開設できるわけではありません。ある程度の投資経験や資産状況、本人の信用があるかどうかの審査があり、株式投資を初めて行う方がいきなり信用取引の口座開設はできません。

多くの証券会社では、WEB上で必要事項を入力することで審査が完了しますが、信用取引専用口座を開設できる条件は券会社によって多少の差があります。証券会社ごとに定められている期間以上の投資経験や資金がある方であれば口座開設できます。

審査基準の多くは、資金は数百万円以上・投資経験は〇年というような、すぐに満たすことのできないものばかりで、信用取引のリスクの高さを物語っています。信用取引は、現物取引でしっかり自信と経験をつけてから望みましょう!

NISA口座で非課税にできない

年間120万円までの投資が非課税になるNISAですが、信用取引はNISA口座で非課税にできません。原則として、NISA口座で保有している株式は、信用取引の担保として利用できないことになっています。

残念ながら、NISA口座で保有している株式を信用取引の担保にするためには、NISA口座から税金のかかる普段の課税口座へ移管する必要があります。ただし、この時に払出しした分の非課税枠を再利用できず、現物取引でしか非課税の恩恵を受けることはできません。

中長期投資を目的として株式投資を行うのであれば、初めから”NISA”や”つみたてNISA”で口座開設することをオススメします。

ここまで、現物取引・信用取引とは?といった基本的な部分から、現物取引と信用取引の違いや2つの取引方法のメリット・デメリットまでご紹介してきました。

現物取引は、保有期限や特別なコストもかからないことから、中長期にわたって保有したい株がある方や、株初心者でまずは相場に慣れたいという方に向いていると言えるでしょう。 信用取引は、コスト面やリスクの高さといったデメリットがあるものの、レバレッジをかけた取引で大きな利益が望めたり、空売りを使って下落局面でも利益を出すことができます。

それぞれ、株式投資を行う上で理解しておくべきメリット・デメリットがあり、知っているのと知らないのとでは大きな差が生まれます。特に、信用取引を利用する気は無いという方でも、逆日歩や信用残をよく理解すれば、株の値動きをある程度予想できるようにもなります。

このページで得た知識をもとに、取引の目的や投資スタイルに合わせて、現物取引・信用取引を使い分けられるようにしましょう。

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