株で利益を得たけど、税金をどれくらい払わなければいけないのか分からない。という人は多いと思います。仮に払うのを忘れていたということになれば、脱税となってしまいます。
株初心者の方は、株の税金に関して締め切り間際にあたふたしてしまうかもしれません。しかし、実は株式投資にかかる税金は、一律で20.315%になります。これさえ覚えておけば、あたふたすることもないはずです。
このページでは、株式投資にかかる税金の種類や計算方法に加え、知っている人だけが得をする節税方法もご紹介します。2017年から新しく使えるようになった方法もあり、知らないと無駄な税金を払うことになってしまうので是非ご活用ください。
目次

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株式投資の売却益にかかる税金
株式投資での利益と言えば、株を売却して得る売却益が多いと思います。この売却益のことをキャピタルゲインと呼び、それにかかる税金をキャピタルゲイン課税と呼びます。ここでは、株の売却益に対して課税されるタイミングと、その計算方法をご紹介します。
株の売却で税金がかかるタイミング
キャピタルゲイン課税とは、その年の1月1日から12月31日までに、株式投資で得た利益から手数料などのコストを差し引いた金額に対してかかる税金です。そして、これは申告分離課税として扱われるため、給与所得とは別に確定申告で税金を納めなければなりません。
特定口座(源泉徴収あり)を使っていれば税金を自動で算出・納税してくれるので、手続きの負担を軽くすることができます。しかし、無駄に税金を払ってしまう可能性もあるので、自分が払うべき税金を把握してしっかり節税することが大切です。後に確定申告による節税方法もご紹介するのでお役立てください。
確定申告について詳しくは「株で損失が出た時こそ確定申告!得する知識とやり方解説」、特定口座の開設については「初心者でもわかる株の始め方!必要な資金や口座開設のやり方を紹介」をご覧ください。
株の売却益に対する税金を計算してみよう
株式投資にかかる税金は一律20.315%で、内訳は所得税+復興特別所得税:15.315%・住民税:5%となります。
例えば、年間の利益が15万円だった場合の税金は、
15万円 × 20.315% = 30,472円
となります。
取引毎の利益で計算するのではなく、年間の損益を合算して「年間の利益×20.315%」で計算すれば簡単です。次は、配当金による利益にかかる税金をご説明します。
株式投資の配当所得にかかる税金
株式投資では、企業が利益の一部を株主に分配する配当金があります。配当金による利益をインカムゲインと呼び、これに対する税金をインカムゲイン課税と呼びます。ここでは、配当金に対する税金の計算方法や、間違えられやすい「配当落調整金」との違いをご説明します。
株の配当金にも税金がかかる
配当金にかかる税金は、インカムゲイン課税と呼ばれます。配当金の場合は、受け取る際にすでにこの税率が差し引かれた状態なので、基本的に改めて確定申告をする必要はありません。
しかし、配当金は企業の利益から分配されるため、すでに法人税が差し引かれた資金からさらにインカムゲイン課税を払うことになります。この二重課税を調整する制度が定められており、この節税方法は後に【配当控除】所得税と住民税を分ける最新の税金対策でご紹介します。
株の配当所得に対する税金を計算してみよう
インカムゲイン課税も同じように、20.315%(所得税+復興特別所得税:15.315%・住民税:5%)の税金で計算します。
1株につき20円の配当金が配られる株を1000株持っていた場合、
2万円 × 20.315% = 4,063円の税金が差し引かれ、
2万円 – 4,063円 = 15,937円が配当金として渡されます。
配当金と間違えやすい「配当落調整金」は非課税
配当金について調べていると、「配当落調整金」という言葉を目にすると思います。配当金は、信用取引で株を購入して資金を返却していない状態では、受け取る権利が得られません。この、株を買ったのに配当金がもらえない状況を調整するために、支払われるお金が配当落調整金です。
配当落調整金は課税対象ではないので、配当金の額を100%貰うことができます。例えば、2万円の配当金の場合、普通20.315%が差し引かれ15,937円を受け取りますが、配当落調整金の場合、2万円をそのまま受け取れることになります。
配当落調整金について、詳しく知りたいという方は、「権利確定日・権利落ち日とは?カレンダーを使った簡単な調べ方」をご覧ください。
ここまで、株式投資にかかる税金をご紹介しましたが、次は、その税金を削減する節税方法をご紹介します。2017年から使えるようになった最新の節税方法もあるので、是非お役立てください。
株式投資で損したら確定申告!売却益・配当所得の税金が還付される方法
確定申告と言えば、利益を得た人が税金を払うために申告するイメージがあると思います。しかし、損をした場合でも確定申告をすることで払いすぎた税金が還付される場合があります。大切な資産を守るためにも確定申告を使った節税方法は頭の隅に置いておきたい情報です。
【配当控除】所得税と住民税を分ける最新の税金対策
配当控除とは、配当金にかかる二重課税を調整するための制度で、給与所得と配当所得を合算し、総合課税で払うという方法です。分かりやすくご説明するため、ここでは復興特別所得税を適用していない金額でご説明します。
総合課税で払う場合、所得税は所得金額によって累進課税(所得額によって段階的に課税)、住民税は10%となります。
塁審課税早見表 | ||
---|---|---|
課税所得金額 | 所得税率 | 住民税率 |
~195万円 | 5% | 10% |
195万円超~330万円 | 10% | 10% |
330万円超~695万円 | 20% | 10% |
695万円超~900万円 | 23% | 10% |
900万円超~1,800万円 | 33% | 10% |
1,800万円超~4,000万円 | 40% | 10% |
4,000万円超 | 45% | 10% |
そして、「配当所得の金額分」は、上図から所得税が-10%・住民税が-2.8%控除され、総合課税時の所得税と住民税の合計が、20%以上の場合お得になります。
所得税・住民税共に総合課税の場合(古い方法) | |||
---|---|---|---|
課税所得金額 (給与所得+配当金) |
配当所得に対する 所得税率 |
配当所得に対する 住民税率 |
実際に払う税金 (所得税+住民税) |
~195万円 | 0% | 7.2% | 7.2%【お得】 |
195万円超~330万円 | 0% | 7.2% | 7.2%【お得】 |
330万円超~695万円 | 10% | 7.2% | 17.2%【お得】 |
695万円超~900万円 | 13% | 7.2% | 20.2%【お得】 |
900万円超~1800万円 | 23% | 7.2% | 30.2% |
1800万超~4000万円 | 30% | 7.2% | 37.2% |
4000万円超 | 35% | 7.2% | 42.2% |
上記の通り、今までの方法では、所得金額が900万円以下の方はお得なものの、住民税が7.2%と本来の5%より高くなっており、節税しきれていませんでした。しかし、2017年税制改正から所得税と地方税が別々に選べるようになり、所得税は総合課税(累進課税率-10%)・住民税は申告無し(5%)で払うことができるようになりました。
所得税・住民税共に総合課税の場合(古い方法) | |||
---|---|---|---|
課税所得金額 (給与所得+配当金) |
配当所得に対する 所得税率 |
配当所得に対する 住民税率 |
実際に払う税金 (所得税+住民税) |
~195万円 | 0% | 5% | 5%【お得】 |
195万円超~330万円 | 0% | 5% | 5%【お得】 |
330万円超~695万円 | 10% | 5% | 15%【お得】 |
695万円超~900万円 | 13% | 5% | 18%【お得】 |
900万円超~1800万円 | 23% | 5% | 28% |
1800万超~4000万円 | 30% | 5% | 35% |
4000万円超 | 35% | 5% | 40% |
これにより、所得金額が330万円以下の人は5%、695万円以下の人は15%、900万円以下の人は18%と、大幅に税率を下げることが可能となりました。ただし、900万円を超える方は、総合課税を使わず申告無しの方がお得になるので注意が必要です。
【損益通算】利益と損失を合算して節税
損益通算とは、株式取引での利益と損失を相殺することで、税金の払い過ぎを防ぐ方法です。配当によって損失が出ることはないので、基本的に売却損と売却益・配当金を合算します。
キャピタルゲイン(売却益)+ キャピタルロス(売却損)
まず、キャピタルゲインとキャピタルロスのどちらもが存在するとき。これは、口座を2つ以上持っている時に起こりうることです。口座Aで50万円の利益、口座Bで50万円の損失が出た場合、本来は50万円に対して税金がかかります。しかし、損益通算を行ってこれらを相殺することで、実質の利益は0円となるので税金はかかりません。

インカムゲイン(配当所得)+ キャピタルロス(売却損)
また、インカムゲインで損失を相殺することも可能です。配当金でのインカムゲインが30万円の年に20万円のキャピタルロスが出たとします。この場合、本来は配当所得の30万円に税金がかかりますが、20万円の損失で相殺することで、10万円の利益に対しての税金で済むようになります。

本来:30万円×20.315%=60,945円
相殺した場合:10万円×20.315%=20,315円
となり、払いすぎた税金40,630円が返ってきます。
【繰越控除】損失を持ち越して最大3年間節税
損益通算を行ってもなお損失が残る場合、繰越控除を行うことで3年間その損失を繰り越すことができます。

上図のように、3年間その損失を保有するという形で繰り越すことで利益が差し引かれ、税金を減額することが可能です。
税金を減らす事=利益を増やす事にもなるので、しっかり節税して利益を増やしましょう。また、これらの節税方法は確定申告が必要になります。確定申告については「株で損失が出た時こそ確定申告!得する知識とやり方解説」をご覧ください。
まとめ
以上、株式投資にかかる税金のご説明でした。どんな税金がかかるのか?いくらかかるのか?を把握することで、節税方法を選ぶことができ、節税は実質利益になります。
少しくらい多く払っても大丈夫、と思う方もいるかもしれませんが、回数を重ねるごとにその金額は無視できるものでは無くなります。自分が本当に払うべき税金を見極め、大切な資産を守ってください。