ほとんどの銀行が普通預金の金利が0.01%の今、株式投資での資産運用に興味を持っている方が多いのではないでしょうか?長期金利が下落する一方、日本株の配当金は平均利回り2%を誇っており、割安で長期投資にはピッタリの投資対象です。
高利回りの銘柄を見ると、ついつい飛びつきたくなりますよね。しかし、利回りは「今」を表した数字にすぎません。目に見える数字だけに飛びついて購入してしまうと、後々業績悪化で無配に…なんてこともあり得ます。本当の高利回り株を見つけるには、「将来」を考慮する必要があるんです。
このページでは、「なぜ高利回りなのか?」や「自分で高利回りを実現するコツ」をご紹介します。また、利回りとは?という基本的な部分はもちろんのこと、東証株利回りランキングや企業情報など、実践に役立つ情報も記載しているので、是非お役立てください。
目次

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株の配当利回りは平均2%!
マイナス金利により普通預金の金利が0.01%の銀行が多い中、株式投資での平均利回りは2%と言われています。銀行はもちろんのこと、国債などの長期金利も遥かに上回るコストパフォーマンスを見せています。
ここでは、配当金・利回りとは?そして、株式投資をオススメする根拠をご紹介します。
株の配当金・配当利回りとは?
配当金とは、企業の利益の一部を株主に還元する制度で、年に1,2回支払われます。そして、残った利益は内部保留となり、会社の成長投資に充てられます。

配当金は、株を保有している限り毎年一定額を受け取ることができますが、業績が好調であれば配当金を増額する「増配」、逆に業績が悪化した場合は減額する「減配」、配当を辞める「無配」があり、その会社の業績によって変動します。
株の配当金を目的に投資する場合、特に重視されるのが「配当利回り」です。これは、投資額に対してどれくらい還元されるのかを示す指標です。例えば、株価200円の会社が配当金7円の場合、200円ごとに7円還元されることから、この会社の配当利回りは3.5%となります。
配当金は、1回投資すれば半永久的に受け取れるので、預金と同じような感覚でありながら、預金以上のスピードで資産を増やす事ができます。また、現在の日本株は長期投資に向いており、配当を目的とした投資を始めるには絶好のタイミングと言えるでしょう。
現在の日本株は割安!長期金利と配当利回りを比較
長期金利とは、満期までの期間が1年以上の金融資産や負債の金利を意味します。日本で代表的な長期金利と言えば国債でしょう。
下図の通り、過去5%近くあった長期金利ですが、現在ではほぼゼロとも言える金利まで下落しています。一方、1%未満だった日本株の配当利回りは2%まで上昇していることが見て取れます。

出典:楽天証券
以上のことから、配当利回りで見た現在の日本株は割安で、長期投資での資産運用にピッタリの投資対象と言えます。株式投資の配当利回りが上昇傾向にある今、東証に上場する高利回り株はどれほどのコストパフォーマンスを見せてくれるのでしょうか?
【1位は利回り6.5%!】東証株 配当利回りランキング
ここでは、東証に上場している全銘柄を対象とした利回りランキング、企業情報をご紹介します。
東証株 配当利回りランキング
順位 | 証券コード | 市場 | 企業名 | 事業内容 | 配当利回り |
---|---|---|---|---|---|
1 | 9904 | 東証2部 | ベリテ |
宝飾品小売り | 6.54% |
2 | 3528 | 東証2部 | プロスペクト |
不動産業 | 5.77% |
3 | 2914 | 東証1部 | JT(日本たばこ産業) |
国内たばこ製造 | 5.09% |
4 | 7201 | 東証1部 | 日産自動車 |
自動車メーカー | 5.01% |
5 | 2408 | 東証JQS | KG情報 |
情報誌の発行 | 4.80% |
6 | 2411 | 東証JQS | ゲンダイエージェンシー |
広告会社 | 4.50% |
7 | 9308 | 東証1部 | 乾汽船 |
倉庫・海運業 | 4.43% |
8 | 7523 | 東証JQS | アールビバン |
版画の催事販売 | 4.42% |
9 | 7991 | 東証2部 | マミヤ・オーピー |
パチンコ周辺機 | 4.28% |
10 | 4705 | 東証JQS | クリップコーポレーション |
学習塾 | 4.23% |
(※2018年5月24日時点)
配当利回りトップ10企業情報
【9904】ベリテ

ベリテは、現在国内で92店舗を展開している宝飾品専門小売店チェーンです。
5月14日に決算を発表し、1-3月期の経常利益は1.1億円(前年同期比2.6倍)に急拡大、さらに、売上営業利益率は前年同期の1.1%から4.5%と大幅な改善を発表しました。全店舗の売上高、客単価が堅調で、仕入れルートの見直しによる売上原価や販管費の減少が寄与したとされています。
同時に、配当金を18.5円から32円へ増配することを発表しました。実に13.5円の大幅増配で、これにより株価は急騰。前日の終値287円から14日の終値は367円、さらに5月23日現在も株価は上昇を続けており、一時は500円台に乗る場面も見られました。
【3528】プロスペクト

プロスペクトは、首都圏でのマンション分譲が主力の不動産会社で、地下推進工事や太陽光発電の売電事業、不動産や日本株での運用も行っています。
5月15日に決算を発表しましたが、18年3月期の連結経常損益は前期5.1億円から転じて、9億円の赤字での着地となりました。また、今期の配当金を4円から3円へと減配することを発表し、株価の下落に繋がりました。
今後、マンション分譲事業への依存から脱却を図るため、注文住宅事業、投資顧問業、建設業など事業分野の拡大を目指すとしています。
【2914】JT(日本たばこ産業)

JT(日本たばこ産業)は、国内で唯一のたばこ製造を担う会社です。また、海外事業へも積極的に取り組んでいます。
5月1日に決算を発表しました。特に大きなサプライズはなかったものの、国内タバコの調整後営業利益が前期比14%減に収まったことや、経費削減の進捗により地盤の堅さが評価され、株価は大反発を見せました。
また、加熱式たばこ「プルーム・テック」の、全国拡販の開始時期を9月から6月に前倒しした事も好材料となっているようです。
【7201】日産自動車

日産自動車は、誰もが知っているであろう自動車メーカー大手です。国内以外にも、北アメリカやヨーロッパなどの50か国では高級車ブランドのインフィニティ、新興国向けには低価格ブランドのダットサンを展開しています。
5月14日に決算を発表し、18年3月期の連結最終利益は7,468億円(前期比12.6%増)でしたが、19年3月期は5,000億円(前期比33.1%減)に落ち込む見通とのことです。
同時に、配当金を53円から57円の4円増配することを発表し、株価の急騰に繋がりました。
【2408】KG情報

KG情報は、求人・住宅・結婚・クーポンなどのサイト運営、総合求人フリーペーパーの発行を手掛ける会社です。中国・四国地方を中心に現在新規エリアの進出に注力しています。
ブライダル関連情報、クーポン関連情報が低調で、1月15日の決算では6期連続の減収・減益を発表しました。また、これにより配当金を41.9円から34.2円の7.7円減配する方針を発表しました。
KG情報は、平成30年3月26日に株式会社アピールコムを連結子会社としており、第3四半期より連結業績予想に組み込む、とのことです。
【2411】ゲンダイエージェンシー

ゲンダイエージェンシーは、パチンコホールの集客に特化した広告のプロデュースで全国展開している会社です。しかし、新規出店告知の需要が減少していることから広告事業では苦戦しており、現在プリンティング事業の拡大に注力しています。
4月13日の決算では、18年3月期の連結経常利益が7億1,600万円(前期比43.5%減)に落ち込んだ一方、19年3月期は8億円(前期比11.7%増)に回復する見通しを発表しました。
カジノ運営事業の初期投資負担が響く中、配当利回りの割安感が株価の下値をサポートする形になりました。
【9308】乾汽船

乾汽船は、外航海運事業を主軸に倉庫・運送、そして勝どきエリアを中心に不動産事業も手掛けています。
5月11日の決算発表では、18年3月期の連結経常損益は7.5億円の黒字(前期23.4億円の赤字)となり、従来予想の4.6億円の黒字を上回る結果となりました。さらに、19年3月期の同利益は18.9億円前期比2.5倍に急拡大する見通しで、多くの投資家を喜ばせるサプライズ決算となりました。
同時に、前期の配当金を7円から24円に増配し、今期も前期比22円増の46円に大幅増配する方針を発表しました。これらの発表により株価は急騰し、5月11日から翌営業日14日にかけて、16%以上の上昇を見せました。
【7523】アールビバン

アールビバンは、展示会を開いて現代版画の販売をする会社です。また、アート雑貨・キャラクター雑貨の販売や顧客向け金融サービスも行っている他、昨夏には女性用ホットヨガ事業にも参入しました。
5月15日に決算を発表、18年3月期の連結経常利益は9億1,600万円(前期比10.2%減)でしたが、従来予想の7億円を上回っての着地となりました。直近3ヵ月の実績では、連結経常損益が1,300万円の赤字(前年同期3億5,600万円の黒字)に転落、売上営業利益率は前年同期の20.3%から8.7%に急低下しています。
主力である版画作品の販売は堅調で、金融サービスも上向きとのことですが、ホットヨガ出店費用が重く、今後の展開に期待したいところです。
【7991】マミヤ・オーピー

マミヤ・オーピーは、紙幣搬送システム機器、メダル・硬貨払出機、券売機などのパチンコ周辺機を手掛けている会社です。総合ゴルフメーカー「キャスコ」を傘下としています。
5月9日の決算発表では、18年3月期の連結経常利益は1億3,200万円(前期比85.3%減)に落ち込みましたが、19年3月期は1億5,000万円(前期比13.6%増)に伸びる見通しとなりました。
キャスコの海外事業では中国事業が低調ですが、国内事業ではゴルフクラブなどが堅調とのことです。株価については、PBRや配当利回りの割安感が下値を支える形となっています。
【4705】クリップコーポレーション

クリップコーポレーションは、愛知を中心に小中学生向けの個別塾を手掛ける会社です。また、幼児から小学校低学年を対象としたサッカー教室も運営しており、2つの事業を両輪としています。
5月11日の決算では、18年3月期の連結経常利益が2億円(前期比10.9%増)に伸び、19年3月期も4.1億円(前期比2.0倍)に急伸する見通しとの発表がありました。
既存教室の生産効率見直しを徹底し、個別塾は平均生徒数が増加した一方、サッカー教室は平均生徒数の減少が目立っています。
高利回り株が好業績とは限らない
配当生活を目標とする人にとって、配当利回りは非常に重要な指数となります。しかし、高利回りであれば良いわけではありません。利回りが良ければ多くの投資家が購入し、株価が値上がりすることで利回りも下がるはずですよね?
高利回り株に投資するには、まず「なぜ高利回りなのか?」を考える必要があります。
なぜ高利回り株なのか?
高利回りである主な理由として、「株価が下落して高利回りになったパターン」と「配当金を増配して高利回りになったパターン」が挙げられます。
株価が下落して高利回りになったパターン

まず、危険な高利回り株として挙げられるのがこのパターンです。一見、利回りが上昇しているように見えますが、実は分母となる株価が下落したことで、相対的に利回りが高くなっているだけです。
流れとしては、業績の悪化を見越した投資家が売却に踏み切り、株価が下がります。普通、業績の悪化と同時に減配を発表することが多いですが、配当金の額に変更がない場合、投資額に対して貰える配当金の割合が増え、「表面的な高利回り株」になってしまいます。
この「表面的な高利回り株」の裏側を覗いてみると、業績・利益に見合わない配当金により、業績悪化で苦しい財務状況を更に締め付けている状態です。このような株は、耐えられなくなった地盤が崩れ、大幅な減配・無配になるリスクが潜んでいます。
業績の悪化や減配は投資家をガッカリさせますが、利益が減ると次の成長投資に使う資金も減ってしまうので、業績回復のための減配は必要なことと捉えましょう。
無理に支払われる配当金ではなく、上手く資金と向き合っている会社を見極め、表面的・危険な高利回り株を掴まないよう注意が必要です。
配当金を増配して高利回りになったパターン

こちらが、本来望ましい高利回り株の画像です。先ほどと同じように、利回りが30%から50%へ上昇していますが、こちらは分子となる配当金が増えたことで利回りが上昇しています。
例えば、「東証株 配当利回りランキング」で1位のベリテ[9904]は、決算の発表と同時に配当金を18.5円から32円へ大幅増配を発表しました。この決算の前営業日である5月11日、株価は高値291円でした。好業績を予想してこの日に投資していた場合、高値で買ったとしても決算後の利回りは10.99%です。
決算内容と増配の発表を知った投資家に買われ、現在の利回りは6.54%となっていますが、 好業績を予想できていれば、10%をも超える高利回り株を手に入れるチャンスだったんです。
これらの2つのパターンを見て気付いたことはありませんか?どちらのパターンも、損をしているのは後で購入した人なんです。次は、この2パターンを踏まえて「株で高利回りを実現するコツ」をご紹介します。
配当生活のために!株で高利回りを実現するコツ
先ほどの2パターンで損している人は、「多くの投資家が売った後で買った人」と「好業績・増配を見て値上がりした後で買った人」ですよね?
株式投資では、見えるものだけを見ている人はチャンスを逃すことが多いかもしれません。チャンスを掴むコツは、見えない未来を予測することです。
配当利回りに「時間軸」を加えて考える
配当利回りというのは、「現在の配当金 ÷ 現在の株価」で算出されるので、あくまで「今」を表した数字にすぎず、その数字がずっと維持される保証はありません。今は高利回りでも、来年は無配で利回り0%ということもあり得ます。
本当の高利回りを実現するには、利回りに「時間軸」を加えて実質的な利回りを考える必要があります。
例えば、利益の50%を配当金に充てると決めている会社があったとします。
この株は、株価300円で配当金6円の利回り2%です。
Aさんは「利回りだけ見れば平均的だけど、業績を見ると好調で借金も少ない、景気の影響を受けにくい事業で安定して利益を伸ばせそう」と思い購入しました。
その後、会社の利益が5倍になった時の配当金は30円で、この時Aさんは利回り10%を手に入れました。その話を聞いたBさんが買おうとしましたが、増配と共に株価も上昇しているので、その株自体の利回りは2%のままです。
先に購入していたAさんだけが、この株で高利回りを実現しました。
このように、今見える利回りだけでなく、会社の成長性という「時間軸」を加味することで、実質的な高利回りを実現することができます。今表示されている利回りだけが全てではないことを頭の隅において銘柄選定を行ってみてください。
この「時間軸」を加味した考え方で利回り48%を実現したのが、投資の神様とも呼ばれる「ウォーレン・バフェット」です。
配当利回り48%のコカ・コーラ株!?
ウォーレン・バフェットは、1988年にコカ・コーラの株を4億株購入しました。当時の株価は3.2ドルほどで、配当利回りも高いということはなく、ごく普通の銘柄でした。しかし、バフェットはコカ・コーラの成長性を見抜いていたようです。

現在、コカ・コーラの配当金は年間で1.56ドル、つまりバフェットの持つコカ・コーラ株の利回りは48%を上回るということになります。ちなみに、4億株での年間配当額を計算すると、6億2,400万ドル(日本円で683億円以上)にもなる上に、それ以上の含み益を保有している状態です。
これを聞いて、今からコカ・コーラ株を買おう!と思ってチャートを見てみると、現在の株価は42.4ドルで、利回りは3.6%でした。コカ・コーラの会社としての安定性、3.6%の利回り、連続増配56年の配当王ということを考えると、もちろん今買っても充分な優良株ですね。
これらの事を考えると、売却益を狙った投資も、配当金を狙った長期投資も、会社の利益を考えることが自分の利益につながるという事が分かります。みなさんも、目に見える利回りだけでなく時間軸を加味し、バフェットのように実質的な高利回り株を発掘してください。